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お金の不安が増大?年金財政検証



老後の生活を支えるのはまずは公的年金です。老後の不安に対応するには公的年金について知らなくてはなりません。先の金融庁報告書も年金問題と化したのが敗因でした。

その金融庁報告書によれば、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯(高齢夫婦無職世帯)の実収入平均は月209,198円でした。うち社会保障給付は191,880円です。実収入の91.7%を占めています。正に老後収入の主力です。

折よく8/27に年金財政検証が公表されました。これについて見てみましょう。

目次

年金財政検証って?

年金財政検証は、厚生労働省のホームページに「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」として載っています。そもそも年金財政検証とは何でしょうか。ホームページにはこうあります。

公的年金制度は長期的な制度であるため、社会・経済の変化を踏まえ、適切な年金数理に基づいて、長期的な年金財政の健全性を定期的に検証することは、公的年金の財政運営にとって不可欠なものです。このため、厚生年金保険法及び国民年金法の規定により、少なくとも5年ごとに、国民年金及び厚生年金の財政の現況及び見通しの作成、いわゆる財政検証を実施しています。

ちょっとわかりづらいですね。日経新聞ではこう説明しています。「財政検証は5年に1度実施する公的年金の『定期健診』にあたる。経済や人口に一定の前提を置き、年金財政への影響や給付水準の変化を試算する。」

朝日新聞はさらにわかりやすく「年金の台所事情」としています。逆にちょっと簡単すぎるとの感もありますが。

そもそも「年金財政」がわからない...

いろいろ説明されても何となくピンと来ない人もいるのではないでしょうか。それはそもそも「年金財政」がよくわからないからだと思います。年金財政には二通りの説明があります。

一つ目については、企業年金連合会(企業年金の親玉みたいなもの)で「年金制度において年金等の給付を確実に支払っていくために行われる一連の資金管理」と説明しています。

重要なのは二つ目の説明の方で、ごく簡単にいえば「公的年金の収支のバランス」のことです。実は厚生労働省のホームページに比較的わかりやすい説明があります。厚生労働省もこういった説明をしていることをもっとアピールした方がよいと思うのですが...。ここから引用します。

年金制度は、長い期間にわたって財政のバランスが取れるように運営していかなければなりません。このとき、どのように年金制度を運営していくか、によって、大きく2つの財政方式があります。それは「賦課方式」と「積立方式」というもので、受給者に年金を支払うために必要な財源を用意するための方法が異なります。

賦課方式とは

賦課方式は、年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する方式です。現役世代から年金受給世代への仕送りに近いイメージです。
現役世代が高齢になって年金を受給する頃には、子どもなどその下の世代が納めた保険料から自分の年金を受け取ることになります。
保険料を、そのときの年金受給者への支払いに充てるのが「賦課方式」です。

積立方式とは

積立方式は、将来自分が年金を受給するときに必要となる財源を、現役時代の間に積み立てておく方式です。
保険料を、自分が将来受け取る年金として積み立てておくのが「積立方式」です。

日本の年金財政方式は

日本の年金財政方式は賦課方式と言われることがありますが、厳密には賦課方式だけではなく、積立方式も組み合わせています。厚生労働省ホームページでは次のように説明しています。

賦課方式は経済変動に強い。
積立方式は運用収入を活用できるが、経済変動に弱い(目減りの可能性がある)。
公的年金の財政方式は、賦課方式を基本とした財政方式である。これは賦課方式と積立方式のよいところを組み合わせる方式で、積立金を活用することによって、賦課方式のデメリットを補っている。

この方式を修正積立方式といいます。21世紀政策研究所では以下のように説明しています。「修正積立方式とは、引退世代への給付については基本的にその時の現役世代から徴収した保険料でまかないつつも、年金制度が成熟化(引退世代の人口の比率が高まったのち高位安定すること)していないときに徴収する保険料の中の一部を積み立てておき、年金制度が成熟化したときに、引退世代に対する給付の一部をその積立金の運用収入でまかなう仕組みである。」また、あまり知られていませんが、税金も国民年金の給付の一部に充てられています。

年金支給のために必要な財源は、その時々の保険料収入・税金および年金積立金の運用収入でまかなわれているのです。

年金財政検証

年金財政検証は4~5月には公表可能だったとの噂があります。公的年金が参議院選挙の争点となるのを恐れる自民党を厚生労働省が「忖度」して、発表を選挙後に遅らせたとのことです。本当がどうかはわかりませんがありうべしかな、と思います。何しろ「老後2,000万円問題」であれほど紛糾したのですから。

夫が会社員で厚生年金に60歳まで加入し、妻が専業主婦である世帯をモデル世帯としています。経済シナリオは良い順にケース1からケース6の6つを用意しており、それぞれについて給付水準の変化を試算しています。

新聞報道はかなりインパクトがありました。経済状況が最も良いケース1(実質経済成長率0.9%)でも給付水準は16%低下するというのです。実質経済成長率ゼロのケース5では28%の低下になります。これでは将来の公的年金には期待できないという結論になってしまいます。

気をつけるべきは、ここでいう給付水準というのは「所得代替率」であるということです。これが検証結果をわかりづらいものにしています。

所得代替率

所得代替率は年金財政検証の中で以下のように説明されています。
所得代替率…公的年金の給付水準を示す指標。現役男子の平均手取り収入額に対する年金額の比率により表される。
所得代替率=(夫婦2人の基礎年金+夫の厚生年金)/現役男子の平均手取収入額
2019年度  (13.0万円+9.0万円)/35.7万円 = 61.7%

ケース1では51.9%、ケース5では44.5%です。これは2019年度61.7%比▲16%、▲28%というわけです。すぐおわかりのとおり、所得代替率は相対的なもので給付の絶対水準を示したものではありません。モデル世帯の年金収入が増加しても、現役男子の平均手取収入額がそれ以上に増加すれば所得代替率は下がります。

では各シナリオでの年金額はどうなるのでしょうか。これも試算結果が示されています。2040年度においてケース1で25.0万円、実質経済成長率0.4%のケース3で23.4万円、ケース5で20.8万円、実質経済成長率▲0.5%のケース6で19.9万円です。いずれも物価変動調整済の実質値です。

年金給付水準は高(?)成長のケース1で+13.6%、低成長のケース3で+6.4%、ゼロ成長で▲5.5%、マイナス成長のケース6で▲9.5%になると考えておきましょう。

他にも見どころはあるけれど

年金財政検証について簡単に解説してきました。他にも将来の公的年金について考えるための材料は結構豊富にあります。新聞・雑誌などでもわかりやすく解説されていますが、それでもどうもわかりにくさが残る。

なぜかな?と思っていたのですが、やはり公的年金そのものが難しいというところにあるようです。思うにFP技能士3級試験合格レベルくらいの知識がほしいかな、と。公的年金の基礎知識を得てから年金財政検証の他のポイントを見てみましょう。

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